〜今月のこの人〜
藏重順子さん(くらしげ じゅんこ) アクセサリー「wa~ka」主宰
◆いつも心にいろどりを
島本町内の方で活躍している人を探していたところ、「私の好きなアクセサリーの作家さんで、インスタのフォロワーも1,000人以上の人がいますよ。手づくり市にも出展されていました」と友人に教えてもらった。さっそく「wa~ka(ワーカ)」という作家名で活動されている藏重順子さんにコンタクトを取り、お話を伺った。
藏重さんは、幼少期から島本町で育った。自然に囲まれて、外で遊ぶのが好きな子どもだった。また草木や花、空や雲を眺めて、絵を描くことも好きだった。特にさまざまな色に興味を持ち、たくさんの色の色鉛筆を買ってもらったときは、うれしさのあまり色鉛筆を握りしめながら寝てしまったこともある。将来は、色に関係する仕事に就きたいと夢見ていた。今でも座右の銘は、「いつも心にいろどりを」である。
大学でデザインを学び、設計デザイン事務所に就職した。結婚して島本を離れて東京、島根、広島、山口へと、転勤で引っ越しが続いたが、ずっと大阪に帰りたいと思っていた。いざ大阪に帰れることになったとき、「やはり昔から住み慣れた島本町がいい」となり、住居をかまえた。島本は、自然もたくさんあり、人も優しく、のんびりとした雰囲気がとても好きだった。
「大阪や京都への交通の便もよく、とても住みやすい同級生もたくさん今も島本に住んでいますし、子育てもこの島本でしたい!と思ったんです」
◆唯一無二のデザイン
退職後、本格的にアクセサリー作りを開始した。思い描いたデザインを実際の作品として作り上げるために、素材選びから手法まで毎回試行錯誤しているという。思い通りに出来上がらなくて、何度も失敗したときは、もう一度素材選びからやり直す。ふらりと街へ出かけ、気になる素材を見つかるまで、何時間も探し回るという徹底ぶりだ。
どこかで見たことのあるデザインではなく、唯一無二のデザインを作り上げるように心掛ける。素材選びも、アクセサリーの素材を探しに来たということは置いておいて、まっさらな状態で、いろんな素材を見ていく。すると、意外な発見や出会いに遭遇することがあるという。「とてもわくわくして新しいものができる予感がするんです。それが楽しい瞬間ですね」。美術館や展示会などによく足を運び、「いろんな人がどのような思いで製作したかを感じ、知ることがとても楽しいです」という。
藏重さんの作品のファンである友人も「他に類を見ないデザインを考えられるすごい人なんです。立体的なデザインも設計デザイン事務所時代に培ったものではないですかね。知識とセンスを兼ね備えている感じ」と絶賛する。
◆海外への視野も
平成27年に初めてロハスフェスタ万博に出展した。そのときは、たくさんの人に作品を見てもらえるだけで光栄で、うれしい気持ちが大きかった。と同時に売れた実績が今後の出展につながるので、「売れるためにはどうしたら良いのか、自分の思う『かわいい』をどれくらいの方々に受け入れられるのか、プレッシャーも大きく、ただただ祈るばかりだった。
現在人気のヘアターバンも、最初はあまり売れ行きがよくなかった。他にはないデザインと雰囲気を重視して制作していたため、「いつかそれを分かってくれる人がいたらいいな」と、売れる売れない関係なく自分の思う「かわいい」を追求し、つくりつづけた。
「気に入ってくださる方々も徐々に増え、今では3カ月先のオーダーまで埋まるようになりました。本当にありがたく思っています」。
先述のしまもと手づくりコミュニティ市にも出展、ロハスフェスタ万博をはじめ京都の手作り市といったイベント、百貨店催事、委託販売を国内外にて幅広く活動している。「イベントに出展する際には、ぜひ遊びにいらしてください。どれが似合うか合わせやすいかなど、一緒に実際いろいろ合わせてみて、楽しいひとときを過ごしたいですね」。
ふだん身に付けない個性的なデザインも、合わせてみると意外にしっくり似合うという新たな発見に出合うこともある。何歳になっても、いつもと違う自分にドキドキすることは、楽しいものである。作品を愛用するファンも10~80代まで幅広い年齢層という。
「今後はアクセサリーにとどまらず、造形物の製作にも力を入れて、国内外のコンクールに挑戦していこうと思っています。海外のお客様も多いので、将来海外でも個展をすることを目標に頑張ります」と、藏重さんはまだまだ意欲的である。
島本町で培った審美眼で進化しつづける「ワーカ」の世界観。作品づくりを通して、たくさんの方々にその物語を紡いでいってほしいものである。藏重さんの今後の素敵な作品づくりや活動に目が離せない。


